腸内フローラとは?腸内細菌叢改善方法の腸内細菌移植療法とは?
腸内フローラ(腸内細菌叢)とは
腸内フローラという言葉を耳にすることが多くなりました。
腸内フローラとは腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)とも言い、簡単に言うと、人の腸の中の細菌群のことです。
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腸内フローラの意味とは何か?善玉菌・悪玉菌・日和見菌の比率バランス
人間の腸内には500~1000種類、500~1000兆匹の細菌が住んでいて、花畑(フローラ Flora)のようにバランスを保ちながら生態系を形成しています。
重さにしてなんと1.5kg~2kgくらいにもなるそうです。
これは、細菌のDNAを調べる次世代シークエンサーという方法が開発され、細菌の種類や存在する割合が分類できるようになり、解明されてきたようです。
腸内フローラを形成する細菌はそれぞれ縄張りをもって、バランスよく共生しています。
そこへ、新たに侵入してきた菌に対しては、腸内フローラを形成している細菌類が攻撃を繰り返します。
腸内フローラの緊密な連携によって免疫系が活性化して、病原菌などの菌を排除して病気などから守っているのです。
なんと、免疫力のおよそ70%が腸内細菌と腸粘膜細胞との共同作業で作られているということです。
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腸内細菌移植療法とは腸内フローラを改善する治療法
腸内細菌はバランスを保ちながら、腸内フローラを形成していますが、繊維質が少なく脂肪分の多い食事や運動不足、抗菌薬の多用、ストレスなどの影響で腸内フローラのバランスが崩れると、体調不良や炎症性の腸の病気、アレルギー、肥満、メタボリック症候群、糖尿病など、さまざまな病気につながるといわれています。
しかし、日本人の野菜消費量は1985年は1人当たり年間110.8kgであったのが1999年には102.8kgまで低下しています。
また、食物繊維の摂取量は、戦前の約3分の1の量にまで減少してしるそうです。
腸内細菌のエサである野菜や豆類、食物繊維の摂取量が減ってきた現代の食生活により、日本人の腸内細菌数は戦前に比べてとても少なくなっています。
乱れた腸内フローラのバランスを改善するにはどうしたらいいのか?
そこで考え出されたのが、「腸内細菌移植療法」という方法で、健康な人の腸内細菌を患者の腸に移植すれば腸内フローラのバランスが改善するという発想。
「糞(ふん)便微生物移植」「便微生物叢移植(Fecal Microbiota Transplantation)」とも呼ばれ、いわゆる「ウンチ」を移植するわけです。
「糞便微生物移植」は欧米を中心に研究されたきましたが、2013年にオランダの研究チームが、院内感染の下痢の原因として知られる「クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)」の再発患者に、抗菌薬治療とふん便移植で臨床実験したところ、治癒率が抗菌薬では20~30%だったのに対し、ふん便移植は80~90%にも達したという研究論文を発表したのをきっかけに、日本国内でも2014年に臨床研究されるようになってきました。
腸内細菌移植療法の方法
腸内細菌移植療法(糞便微生物移植)のやり方は、事前に健康な人の便を生理食塩水と混ぜ、フィルターでろ過し、大腸内視鏡で患者の大腸の奥の方に注入するという方法です。
国内で実施されている腸内細菌移植療法(糞便微生物移植)は、配偶者や2親等以内の健康な人の便を移植します。
腸内細菌移植療法の効果
腸内細菌移植療法は、慶応大学と順天堂大学が大腸の粘膜に慢性的な炎症や潰瘍が生じる難病「潰瘍性大腸炎」などの患者に、健康な人の便を移植する臨床研究を進めている。
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができ、出血を伴う下痢や痙攣性の腹痛などの症状が出る病気で、日本国内の患者数は約12万人。
かつては、欧米に多い病気だったが、日本国内で1970年代には数千人だった患者数が、食生活の洋風化やストレスなどで、急増しているようです。
腸内細菌移植療法の臨床実験は慶応大学病院が2014年3月、潰瘍性大腸炎の男性に一例目の移植を実施し、順天堂大学病院で2014年7月からの20例の臨床研究で、中等度から軽症では治療後2~3週間で効果が表われ、半年後には下痢などの症状が改善している例もあるそうです。
腸内細菌移植療法は他に、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、多発性硬化症、パーキンソン病などの疾患においても可能性があるのではないかと研究が進められているようです。
腸内フローラ(腸内細菌叢)改善による可能性
腸内フローラを生成する腸内細菌には、病原体を排除する免疫力や食物繊維などを消化する消化能力、その他ビタミン類を生成したり、ドーパミン(脳内麻薬:幸せを感じる物質)やセロトニン(睡眠・体温調節などに関与する物質)という物質を合成し脳に送ったりする機能があります。
腸内フローラのバランスが崩れ免疫力が低下すると、アトピーやぜん息、花粉症などのアレルギー性疾患を引きおこしたり、潰瘍性大腸炎やがんの発生も促します。
また、ドーパミンやセロトニンなどが不足することにより、うつ病や認知症や自閉症などの疾患がおこる可能性が高まります。
肥満や糖尿病などもおこりえるといわれています。
2015年2月に発表された実験報告では、実際に、アメリカ東部ロードアイランド州のニューポート病院で、32歳の女性患者が肥満体型の16歳の娘から糞便微生物移植を受けたところ、感染症の治療は無事に成功しましたが、62kgで安定していた体重が、16か月後には15.4kg増え79.4kgに、3年後には80kg以上になってしまい、医師の指導のもと食事制限と運動プログラムに取り組みましたが痩せることはできなかったそうです。
それ以前の2013年9月に発表されたワシントン大学での実験は、マウスに片方が肥満、片方がやせている双子女性4組から採取した腸内細菌を移植したところ、太った女性から腸内細菌を移植されたマウスのほうが体重が重く体脂肪率も高くなったという報告もあります。
このことは、肥満に影響するデブ菌があるのではないかとも考えられています。
腸内フローラのバランスは、睡眠にも影響するようです。
睡眠に関係するホルモン「メラトニン」は脳内で分泌されますが、材料となるトリプトファンという必須アミノ酸は腸内で生成されるからです。
このように、腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスを改善することができれば、がんや糖尿病や認知症をはじめとする様々病気やアトピーやぜん息、花粉症などのアレルギー性疾患を予防し、若さを保ち、寿命を延ばすことに可能性が期待できるわけです。
腸内フローラ以外に口内フローラも注目されてきました↓
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最近では、腸内フローラのバランスを整える食品として、ヨーグルトも注目されていますね。
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